いくら洋服に費やすお金があったとしても、ブルックリン女性はシャネルに全身を着飾ることはまず無い。ブルックリンのおしゃれの基本は「完璧に仕上げないこと」と「オリジナルを大切にする」だと思う。風船に空気穴があるように、また逃がす部分がその人のオリジナルなテイストになる。
わたしの場合は、おもにフェミニンビンテージスタイルだが、お気に入りのビンテージを探す旅に出かけることも多く、ベルリン、パリ、カナダ、イタリアに足を運んでその土地で根付いた60〜80年代のパターンや色を研究する。そのアイテムがスパイスとなって、ナチュラルな装いでもゴージャスに見せることが出来る。そう、足したり、引いたりを楽しむ。
ブルックリン在住の友人のアサンティーはNYコレクションでも活躍しているスタイリス トで、ジュエリーで遊ぶことが大好き。「遊ぶ」といってもたとえばフォーマルな着こなしの中に1つだけアフリカンエスニック調の大ぶりなバングルを身に付ける。というような遊び方。それによってフォーマルがもっと上品に引き立ったり、個性や知的さが生まれる。
ブルックリンのように多民族が共存している場所に住んでいると、色んなスタイルを目の当たりにするチャンスが日常に転がっているので、外出する際は必ずストリートのファッションを見るようにしている。自分が気に入ったスタイルがあれば、どこがオリジナルアイテムなのかをよく観察する。「あ、この人の空気穴はこれだな。」という感じ。
大人の女性の遊び方としての「完璧に作り過ぎない 」は、心に余裕があって、遊び心を大切にしているかどうか、生き方が自然体なのかどうかを見極めるサインでもある。
風船に空気穴があるように、また逃がす部分がオリジナルなテイスト