ブルックリン発のわたしの大好きなカンパニー「Etsy」の話をしたいと思う。
このカンパニーは2005年に創業され、当時は5人ほどのスタッフと小さなスペースからのスタート。約10年後の今でも「Etsy」はわたしのギャラリーから歩いて15分くらいのDUMBOにヘッドクオーターがある。偶然、知り合いが同じ建物に会社を構えていて、聞く所によれば、今はその階のフロアーすべてが「Etsy」のオフィスだそう。
このカンパニーは、「買いたい人が何処にも見つける事が出来ないものを、見つけ出せるコミュニティーを作り出すこと。」がミッションであり、私のカンパニーと大変共通点がある。それは何かというと大切にしていることが「プロダクト」と言うよりも「ピープル」にあるところだ。買い手が作り手を育て、そしてこの事業に関わる人たちが市場を育てる。
私たちも、どういうアーティストがどういう考えで、どういう風にこの作品を制作し、ミッションは何かをとても大切にするように、彼らもEコマースで売れそうなトレンド商品を見つけてきて売るという利益主義の発想ではなく、売り手と買手、強いて言えば人が関わるコミュニケーションがあって初めてそのプロダクトの意味がある。という考え方。買い手と売り手の長期に渡るリレーションシップの謂れは、「サービス」ではなく、ファミリーに対する「心遣い」に近いものがある。
日本では大量生産や使い捨てが多くて、「末永く大切に使う」という習慣や気持ちを経験する機会が失われているのではないだろうか。「Etsy』で販売しているプロダクトの中心は世界中の「 HAND MADE」。一つ一つが手作りなので、生産までに時間もかかるし、全く同じものを創るのは難しい。でも、コピー商品や大量生産、使い捨てではないものを持つことは、あなたの人生を変える事になる。自分が素敵だと思ったものを一生大切に使う習慣は、貴方を育て、人を育てるパワーがあるからだ。今は、断捨離などですぐに物を捨ててしまう女性も多いが、どういう人がどういう想いでこのプロダクトを創ったのかが分かれば、必ず使い方は変わってくる。わたしたちも同じく、買い手にはどのようなアーティストがどのような想いでこの作品を制作したのかを伝えていくことをモットーにしている。逆に消費者としても、そのバックグラウンドやルートが明確ではないものの購入は避けるようにしている。
今は、ベルリン、アイスランド、ロンドン、オーストラリア、パリ、サンフランシスコ、トロントの世界中にオフィスがあり、655名がチームワークで働いている。2013年の売り上げは10億円以上だったが、このカンパニーで働くチームの「ミッション」が同じ方向を向いているからこそ、このようにどんどん前進し続けられ、そして、スタッフがそれぞれの役割をスペシャリティーと責任をもって担当していることで信頼し合えるのだろう。彼ら自身が本物を大切にするエキスパートに違いない。ちなみに「Etsy」の名前の由来は秘密だそうで、聞かれたら適当に話を作るそう。
自分が素敵だと思ったものを一生大切に使う習慣は、貴方を育て、人を育てる