わたしのギャラリーはブルックリンで一番土地が値上がってってしまったダウンタウン地区で、100年前靴工場だったこの建物の廻りには今は近代的なコンドミニアムが多く立ち並ぶ。
中にはミリオンを超えるLOFTも多く、そんな場所から2ブロックほど歩くとプロジェクトが立ち並んでいる地区がある。夜中になるとそこには住民以外は立ち寄らないことは暗黙の瞭然だ。
プロジェクトとは低所得者の人たちが住んでいる市が建てた建物の事を言う。住民が危険というわけではなく、シューティングなどの事件が勃発する可能性が高いエリア。今は変わりつつあるが、昔は恐喝やドラックの受け渡しなどが盛んで、特にブルックリンの奥地で同じようなシンプルな年期のあるブラウンストーンならプロジェクトかもしれない。
日本ではブルックリン=かっこいい街と、良い部分だけを見せたがるが、数年前まではブルックリンほどニューヨークで危ないと言われたエリアはなかったほど。現在、観光客で賑わう場所は殆どがマンハッタン寄りの場所になり、それ以上の奥地へ進むのはその土地をよく知る人と訪れるべきだ。
わたしの古い友人であるジェイソンはブルックリンとクイーンズの境界線あたりで生まれた。彼の祖母はいつも持ち歩くポシェットに拳銃を防備していたと言う。彼は幼なながらにそれを見てなんて危ない所に住んでいるんだろうと思ったそうだ。
わたしは日本では知るべき事が知られていない事に、いつも疑問を感じる。それは日本という稀に見る安全な国に住んでいるが故に、身の危険を感じた経験のない人が多いから。特に海外で優しく声をかけられ被害に遭う日本人女性が今も後をたたない。
日本人女性に知ってもらいたいのは、海外にいると何が起こったとしても自己責任になるということ。危険地区で乱暴されたとしても、その場所にいた被害者が悪いという場合もあり、「無知」ということは女性にとってはとても不利な立場に立たされる。
怖がらせるために真実を伝えているのではなく、想いっきり素敵な冒険をするには、ダークゾーンも知っておくべきだと伝えたい。ダークゾーンの存在を学んでこそ、大人の女性と言えると思う。ブルックリン女性なら誰でも知っている心構え。
ダークゾーンの存在を学んでこそ大人の女性